りんごのうえん

反資本主義、反家父長制

都議選

2017年の梅雨の時期、都議選が始まった。

気圧・寒暖の差で体調を崩し、ジメジメとした気怠い空気も相まって鬱々しく自宅で過ごす毎日の中、外出しなくても街頭演説や選挙カーの音が、築数十年のボロアパートの一部屋である我が家にも否応なしに飛び込んで来る。今や昼夜逆転の生活になっており、立て直したいと思いつつも昼間に惰眠を貪る民と化している私には、昼間の選挙活動の喧噪は鬱陶しく、「次に賃貸物件を探すときには、選挙時に煩くならなさそうな立地を選ぶのもアリかな」なんて考えたりする。

私が今まで賃貸物件を探す際に重視してきたのはまず交通の便を重視して、駅近。駅から徒歩3分圏内がベスト。そして治安を考え、細い路地道を入るような場所は避け、なるべく大きな通り沿い。しかし駅近の大通り沿いだと、どうしても喧噪は切っては切れないもの。今の場所はアパート前の大通りを数百mも行けば飲み屋街もあり、夜は酔っ払いも煩い。例えば「閑静な住宅街」といった、あまりに静かすぎる住環境も私にとっては鬱々としてしまうが、程度問題だろう。

しかしー次に引っ越す時に、今まで通りの選挙なんて期待できるのだろうかーと、ふと考える。安部首相は改憲を急いでいる。共謀罪も施行される。次に国政選挙がいつになるかは分からないが、その時に、はあちこちで政権批判をしている私は共謀罪でしょっ引かれて獄中に居るかもしれない。安部首相は9条に的を絞った改憲にするとしているが、自民党改憲案には基本的人権の大幅な制限や緊急事態要綱も盛り込まれていて油断ならない。

安保法案が強行採決された時にも「民主主義は死んだ」と言われた。共謀罪強行採決された時にも「民主主義は死んだ」と言われた。だが、今こうして都議選を迎える中、「投票権」は生きている。安部政権の暴走、政治の私物化ーそういったものに「NO」という民意を示すこと。そして、首都東京の政治の場に、堂々と自公政権に対抗できる議員を送り出すこと。これらはまだ、主権者である私たちの手に残されているのだ。民主主義はまだ死んでいない。死なせてなるものか。殺されてなるものか。

かつて投票権を得るために闘った人たちのことのことも考え、今日本が直面している事態を鑑み、一票の重みを胸に、選挙に行こう。

そして、共謀罪が施行されても、脅えて口を噤むことなく、堂々と自分の意見を主張し、闘って行きたい。共謀罪を廃案、もしくは変えるような法案を国政で提出してもらいたい。

そう考えを新たにする梅雨時期の都議選である。

鬱陶しい天気の後には、必ず爽やかな晴れの日が訪れると信じながら。