りんごのうえん

反資本主義、反家父長制

ベトナム映画『ハイ・フォン』感想 *ネタバレあり*

(以前にMediumにアップした記事を少し手直しして、こちらに転載しています。
元記事:

映画『ハイ・フォン』感想 *ネタバレあり* - りんご - Medium

女性が活躍する、痛快なアクション映画です。
このヒロインは、怯まず進む。そこが良かった。
かっこいい。

ヒロインの女性には子どもがいるのですが、その子どもの父親が回想シーンに殆ど出てこなかったことも好感が持てる。
ラストに男性刑事がアシスト役で登場するのですが、その刑事と発展しない ところが、ありがちな異性愛規範や恋愛主義に回収されていないので良いと思いました。

銃器を使わないアクションシーンでは、男性の手を借りずとも女性が上手くアクションを立ち回るというのがよかった。

アクションシーンで女性が足手まといになったり、結局は男性に助けられる映画、嫌というほど見せられていますからね。「しょせん女は力では男には敵わないんだ」という、男性の暴力支配を正当化するようなメッセージになってしまう。


アクションシーンが良かっただけに、終盤、男性刑事が銃で撃つのは残念な展開だったかな。「男の手を借りる」構図になってしまうので。
だから、刑事も女性であればよかった。
そうすれば、バディものみたいなシスターフッドが描けただろうし。

その点、中盤に出てくる女性看護師は良かった。スクーターでヒロインを送迎し、最後いい顔で見送るというナイスなポジション。

ちょっとした助け合いや、カッコいいアシストをすることすら、男性特有の事象にされてしまいがち。従来の映画では「女性同士」では、なかなか描かれていない関係性だと思った。

ラスボスが女性なのも良かった。ボス、強すぎ。かっこいい。

主人公が、子どもを信じてあげなかったことをきちんと謝罪するシーンも良きです。これ大事なこと。

ただ、やっぱり女性は母性でないと強くなれないのかな、とか思わせてしまう内容。

でも総じて良く出来ていて、わりと気軽に、楽しみながら観られる映画だと思います。
オススメ。